mikeo_410
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    13. 12.航程線とメルカトル図法
    14. A1.地図、地球儀(Rスクリプト、データ)
    15. A2. 付録6.計算式集の公式

地球楕円体上の点

地表の位置は緯度、経度で示されます。地表はデコボコしているので高さも必要です。地球楕円体上の点を楕円体高ゼロで考えます。

常用されている緯度は地理的緯度φです。これは観測点で「おもり」を垂らした垂線と赤道面のなす角です。地球を回転楕円体と見なすので地表の観測点の垂線は地心を通りません。

 経度をλとして、(φ、λ) から点A (x,y,z) を計算することを考えます。

1. 緯度

 地理的緯度をφ、地心緯度をθ とすると両者は図のような関係です。

図は地球楕円体を極軸を含む平面で切断した断面です。また、点Aを通る経線です。地球楕円体は球が極軸を軸に回転して膨らんだ回転楕円体なので赤道は真円です。したがって、どの経度の経線も同じ楕円を描きます。z座標は緯度φで決まり、経度λに依存しません。

断面をXZ平面と見なして考えます。赤道半径に当たる長半径aは常にa=1で計算します。

  1. b <- 0.6
  2. t <- seq(0,2*pi,length.out=360)
  3. x <- cos(t)
  4. y <- b*sin(t)
  5. plot(x,y,t="l",xlim=c(-1,1),ylim=c(-1,1))

楕円をRで描くには、上のようなスクリプトが簡便です。0から2πの角度tに対して、

        点(cos(t),\ \ b\cdot{}sin(t))

を、計算して結びます。

上の図で、中心角がβのとき、円周上の点P\left({cos\beta{},\ sin\beta{}}\right)です。点Pを通る垂線と、楕円の交点Aは、A\left({cos\beta{},\ \ b\cdot{}sin\beta{}}\right) です。

楕円は、{x}^{2}+\frac{{y}^{2}}{{b}^{2}}=1 です。したがって、図の範囲では、y=b\sqrt{(1-{x}^{2})} です。

x=cos\beta{} とき、

y=b\sqrt{(1-{cos}^{2}\beta{})}=b\sqrt{{sin}^{2}\beta{}}=\pm{}\ b\cdot{}sin\beta{}

(1)

です。

この作図は、角度βに対して、点Aを描いています。この媒介変数βは、更成緯度です。

更成緯度βと、地理的緯度φの関係を考えます。

長半径が1の楕円の点\left({{x}_{0},{y}_{0}}\right)における接線は、{x}_{0}x+\frac{{y}_{0}y}{{b}^{2}}=1 です。

y={b}^{2}\frac{1-{x}_{0}x}{{{y}_{0}}_{\ }}=\frac{-{b}^{2}{x}_{0}}{{{y}_{0}}_{\ }}x+\frac{{b}^{2}}{{{y}_{0}}_{\ }} 

なので、接線の傾きは \frac{-{b}^{2}{x}_{0}}{{{y}_{0}}_{\ }} です。したがって、これに直交する法線の傾きは、\frac{{y}_{0}}{{b}^{2}{x}_{0}} です。法線の傾きは tan\varphi{} なので、A\left({cos\beta{},\ \ b\cdot{}sin\beta{}}\right) において、

tan\varphi{}=\frac{1}{{b}^{2}}\cdot{}\frac{\ b\cdot{}sin\beta{}}{cos\beta{}}=\frac{1}{b}tan\beta{}

更成緯度βと、地心緯度θの関係を考えます。

tan\theta{}=\frac{b\bullet{}sin\beta{}}{cos\beta{}}=b\cdot{}tan\beta{}

したがって、地理的緯度φと地心緯度θの関係は、

tan\varphi{}=\frac{1}{b}tan\beta{}=\frac{1}{{b}^{2}}tan\theta{}

(2)

2. 常用の緯度経度

計算はすべて弧度で計算します。しかし、説明には適宜「度」を使います。

2.0.1. 緯度

緯度は、赤道をゼロとして、北緯90゜、南緯90゜まで測ります。計算上は南緯を負で表します。

2.0.2. 経度

経度は、ゼロとする経線から、東経180°、西経180°まで測ります。計算上は0から360°で表し、東周りで測ります。計算上の179°は東経179°です。181°は、西経179°です。

3. XYZ座標系

図はRGLで描画するので右手系で考えます。

 図は、長半径1、短半径0.6の地球楕円体です。

 更成緯度で北緯45°、東経30°の地点Aを描いています。

 経度はX軸から東に測ります。北極方向から見て反時計回りで、(0,0,0)を通る経線を0°として360°まで測ります。

 緯度は、赤道が0°で、北極が90°、南極が-90°です。

 更成緯度の45°は、地理的緯度で59°、地心緯度で31°と計算されます。

4. 準拠楕円体

扁平率で準拠楕円体を示すと、b=a(1-f) です。

GRS80 では、赤道半径 a = 6,378,137 m、扁平率 f = 1/298.257222101 なので、

        b=a(1-f)=6,356,752.31414 m

bは極半径となります。

ここでは、地球楕円体の長半径をa=1としたときの短半径bで準拠する楕円体を示します。

        b=1(1-f)=0.996647189318818

この値は、ほぼ1であって、作図では真球と変わらないものになります。

小さなbの値を使って強調して描きます。

5. (φ、λ)から(x,y,z)へ

前述の式(2)から、

        tan\varphi{}=\frac{1}{b}tan\beta{}

なので、

        tan\beta{}=b\cdot{}tan\varphi{}

        \beta{}=atan(b\cdot{}tan\varphi{})

です。

Z軸と、点Aで決まる平面による断面、X’Z平面で考えます。

        P(cos\beta{},\ sin\beta{})

        A(cos\beta{},\ b\cdot{}sin\beta{})

です。点AのZ座標は、前述の式(1)のように、楕円の式に x=cos\beta{} を代入して求めました。

したがって、地心緯度θは、

        tan\theta{}=\frac{cos\beta{}}{b\cdot{}sin\beta{}}=\frac{1}{b}tan\beta{}

北極から赤道面を見ると図のようになります。X’Z平面の A(cos\beta{},\ b\cdot{}sin\beta{}) は、XYZ座標で、

A(cos\beta{}\cdot{}cos\lambda{}\ ,\ \ \ cos\beta{}\cdot{}sin\lambda{}\ ,\ \ \ b\cdot{}sin\beta{})

(3)

         


題目一覧へmikeo_410@hotmail.com(updated: 2022/12/17)