mikeo_410
  1. 2.地球
    1. 0.地球のWebGL
    2. 1.地球楕円体上の点
    3. 2.地球儀と楕円体の描画
    4. 3.3Dの直線と平面
    5. 4.卯酉線
    6. 5.楕円の標準形
    7. 6.5点で決まる楕円
    8. 7.曲率半径と平均曲率
    9. 8.楕円の弧の長さ
    10. 9.法線と鉛直線
    11. 10.まっすぐ進む
    12. 11.球面の正方形
    13. 12.航程線とメルカトル図法
    14. A1.地図、地球儀(Rスクリプト、データ)
    15. A2. 付録6.計算式集の公式

卯酉線

ある地点における卯酉線は、その地点を通る経線に直交する線です。卯酉線や経線は、地球楕円体を平面によって切断した断面の外周です。切断面の外周は切り線(截線)と呼ぶようです。

切り線が直交するというのは、経線が作る平面と、切断する平面のなす角が90°だと言うことです。

2.地球儀と楕円体の描画

3.3Dの直線と平面

1. 楕円体の切断面

地点Aの緯度経度(φ、λ)は、赤道面をXY平面としたXYZ直交座標で、

\beta{}=atan(b\bullet{}tan\varphi{})

({A}_{x}\ \ \ {A}_{y}\ \ \ {A}_{z})=(cos\beta{}\bullet{}cos\lambda{},\ cos\beta{}\bullet{}sin\lambda{},\ b\bullet{}sin\beta{})

長半径が1、短半径がb の地球楕円体で、地点Aの鉛直線は(0,0,q)を通ります。

q=b\bullet{}sin\beta{}-cos\beta{}\bullet{}tan\varphi{}

卯酉線は垂直截線で、地球楕円体の表面と、平面の交線です。楕円体は、

        {x}^{2}+{y}^{2}+\frac{{z}^{2}}{{b}^{2}}=1

平面は、({A}_{x}\ \ \ {A}_{y}\ \ \ {A}_{z})、(0,0,q) を含み、経度λの経線の作る平面に直交しています。

経度λの経線の作る平面も ({A}_{x}\ \ \ {A}_{y}\ \ \ {A}_{z})、(0,0,q) を含み、さらに原点を含みます。この3点で決まる平面は、

        {A}_{y}q-{A}_{x}q=0

法線ベクトルは {(A}_{y\ \ },\ -{A}_{x\ \ },\ 0) で、直交するベクトル (L,M,N) は、

 {A}_{y}L-{A}_{x}M+0\cdot{}N=0 

を満たすので、{(A}_{x\ \ },\ {A}_{y}\ \ ,\ c)  を取ります。

        {A}_{x}x+{A}_{y}y+cz+O=0

に、 ({A}_{x}\ \ \ {A}_{y}\ \ \ {A}_{z})、(0,0,q) を代入して、c、O を決めると、平面の式は、

{A}_{x}x+{A}_{y}y+\frac{{{A}_{x}}^{2}+{{A}_{y}}^{2}}{q-{A}_{z}}z-\frac{{{A}_{x}}^{2}+{{A}_{y}}^{2}}{q-{A}_{z}}q=0

R=({{A}_{x}}^{2}+{{A}_{y}}^{2})/(q-{A}_{z}) と置いて、

        {A}_{x}\cdot{}x+{A}_{y}\cdot{}y+R\cdot{}z-R\cdot{}q=0

平面の式をzについて解くと、

        z=(Rq-{A}_{x}\cdot{}x-{A}_{y}\cdot{}y)/R

楕円体の式に代入すると、

        {x}^{2}+{y}^{2}+\frac{{({Rq-x}_{A}\cdot{}x-{y}_{A}\cdot{}y)}^{2}}{{b}^{2}{R}^{2}}=1

{b}^{2}{R}^{2} を両辺に乗じて、展開して整理すると、

({{A}_{x}}^{2}+{b}^{2}{R}^{2}){x}^{2}+2{A}_{x}{A}_{y}\cdot{}xy+({{A}_{y}}^{2}+{b}^{2}{R}^{2}){y}^{2}-2{A}_{x}qR\cdot{}x-2{A}_{y}qR\cdot{}y+{q}^{2}{R}^{2}-{b}^{2}{R}^{2}=0

これは楕円を含む2次曲線(円錐曲線)の一般形です。

楕円の標準形を導いて、一周分のx,y座標を算出し、それを平面の式に代入して z を求めれば卯酉線が引けます。

楕円の標準形は、「5.楕円の標準形」によるものです。

  1. b <- 0.6 # 赤道半径1、極半径bの準拠楕円体
  2. φ <- pi/6; λ <- pi/4 # 地点A 緯度30°、経度45°
  3. β <- atan(b*tan(φ))  # 地点Aの更成緯度
  4. Ax <- cos(β)*cos(λ); Ay <- cos(β)*sin(λ); Az <- b*sin(β)
  5. q <- b*sin(β)-cos(β)*tan(φ) # 垂線の切片
  6. DrawEarthEllipsoid(b=b,drawspheroid=FALSE,alpha=0.5)
  7. spheres3d(Ax,Ay,Az,radius=0.05,col="red") # 地点A
  8. DrawLine2p(c(0,0,q),c(Ax,Ay,Az)) # 垂線
  9. LongitudeLine(λ,b) # 経度λの経線
  10. R <- (Ay^2+Ax^2)/(q-Az)
  11. # 卯酉線の赤道面への投影図形の式の係数
  12. A <- Ax^2+b^2*R^2; B <- 2*Ax*Ay
  13. C <- Ay^2+b^2*R^2
  14. D <- -2*Ax*q*R; E <- -2*Ay*q*R
  15. F <- q^2*R^2-b^2*R^2
  16. u <- StandardForm(A,B,C,D,E,F) # 標準形の諸元
  17. t <- seq(0,2*pi,length.out=361)
  18. x <- u$a*cos(t); y <- u$b*sin(t) # 標準形の周
  19. g <- u$vectors %*% rbind(x,y) # 回転
  20. x2 <- g[1,]+u$cx; y2 <- g[2,]+u$cy # 平行移動
  21. z <- -(Ax*x2+Ay*y2-R*q)/R # x,yからz算出
  22. lines3d(x2,y2,z,lwd=1,col="blue") # 截線描画

赤道半径1、極半径 b=0.6 の扁平な準拠楕円体を考えます。緯度30°、経度45°のA地点は、XYZ直交座標では (Ax、Ay、Az) と計算されます。この値から、卯酉線のXY平面への投影図形に当たる楕円の一般形の係数A、B、C、D、E、F を計算します。

後述する標準形の諸元を求める関数は、係数から、楕円の半径a、b、回転行列、平行移動量を返します。

これによって、XY平面上の楕円を描き、そのx、y座標を平面の式に代入して、高さに当たるzを計算します。


題目一覧へmikeo_410@hotmail.com(updated: 2022/12/17)