mikeo_410
  1. 2.地球
    1. 0.地球のWebGL
    2. 1.地球楕円体上の点
    3. 2.地球儀と楕円体の描画
    4. 3.3Dの直線と平面
    5. 4.卯酉線
    6. 5.楕円の標準形
    7. 6.5点で決まる楕円
    8. 7.曲率半径と平均曲率
    9. 8.楕円の弧の長さ
    10. 9.法線と鉛直線
    11. 10.まっすぐ進む
    12. 11.球面の正方形
    13. 12.航程線とメルカトル図法
    14. A1.地図、地球儀(Rスクリプト、データ)
    15. A2. 付録6.計算式集の公式

曲率半径と平均曲率

1. 楕円の曲率半径

楕円を描いている曲線は、短い区間を円で近似するようです。この円の半径が曲率半径で、その逆数が曲率のようです。

二階微分可能な曲線 y=f\left({x}\right) の点 A\left({q,f\left({q}\right)}\right) における曲率半径 R は、

        R=\frac{{\left({1+{f'\left({q}\right)}^{2}}\right)}^{\frac{3}{2}}}{\left|{f''\left({q}\right)}\right|}

で、f''\left({a}\right)=0 のときは、曲率半径 ∞ です。

楕円を、

        \frac{{x}^{2}}{{a}^{2}}+\frac{{y}^{2}}{{b}^{2}}=1

と表すと、

        y=\pm{}\frac{b\sqrt{{a}^{2}-{x}^{2}}}{a}

maximaで微分して、

        y'=\pm{}\frac{{bx}^{\ }}{a\sqrt{{a}^{2}-{x}^{2}}}

y''=\pm{}\frac{ab}{\left({{a}^{2}-{x}^{2}}\right)\sqrt{{a}^{2}-{x}^{2}}}

したがって、曲率半径 R の2乗は、

        {R}^{2}=\frac{{\left({1-{\left({y'}\right)}^{2}}\right)}^{3}}{{\left({y''}\right)}^{2}}=\frac{{\left({\left({{b}^{2}-{a}^{2}}\right){x}^{2}+{a}^{4}}\right)}^{3}}{{a}^{8}{b}^{2}}                1.1

2. 平均曲率半径

準拠楕円体上の1点における曲面の曲率を考えます。地表のある地点で、その点を通る鉛直方向の直線を含む平面で楕円体を切断します。断面は楕円で、切断する平面の向きによって曲率が変わります。その平均値が平均曲率だと考えられます。その逆数は平均曲率半径です。

方位盤は水平に置かれ、その地点の接面です。錘を下げて決まる鉛直方向は法線です。

法線を含む平面は法面で、法線と、方位盤の方向を示す直線で決まる面です。

この法面と楕円体の交線は、垂直截線と呼ばれるようです。方位盤の方位を示す目盛りは、垂直截線の一部です。

方位は様々な表現方法がありますが、真北から時計回りに360度まで測る「方位角」が共通の基準のようです。方位角は、その地点を通る経線と垂直截線の成す角度であり、経線が作る平面と、法面の成す角角度です。

測量法に基づいた「作業規程の準則」の付則「付録6計算式集」には、平均曲率半径として、 6,370,000 m がでています。また、公式が示されいて、緯度36度の平均曲率半径は、6371488.6206 m となります。

GRS80の赤道半径は、6,378,137 m です。極半径は、6,356,752.314140356 m となります。赤道は真円ですが、経線は楕円を描きます。

経線上では、赤道との交点で最も曲率半径が短く、極で最長となることは明らかです。式1.1によって計算すると、赤道で 6,335,439.327083874 m、極で 6,399,593.625864022 m となります。

極を通る経線はすべて同じ楕円ですから、極における平均曲率半径は、6,399,593.6259 m です。極以外の地点では方位角によって曲率が変わることになります。

「付録6計算式集」の平均曲率半径は、子午線曲率半径と卯酉線曲率半径の幾何平均です。

つまり、方位角0° と 90° の垂直截線の曲率半径の幾何平均です。

準拠楕円体は極軸に回転した回転楕円体なので赤道は真円です。赤道の曲率半径は赤道半径そのものです。子午線曲率半径と卯酉線曲率半径の幾何平均は経度に無関係に、緯度だけで決まります。どの地点でも、その地点を通る経線が最小の曲率半径となり、卯酉線が最大の曲率半径となることが前提のようです。

緯度±90°の極では、6,399,593.6259 m です。緯度0°の赤道上の点では、経線の曲率半径と赤道半径から、6,356,752.3141 m となります。この値は、極半径と同じ値のようです。

3. 平面直角座標9系の原点における平均曲率半径

平面直角座標9系の原点は、緯度北緯36度、東経139度50分と定められています。

この地点に方位盤を置くことを考えます。真北を定めて。方位盤を水平に置きます。方位盤の中心を通る鉛直方向の直線は法線で、赤道面と成す角が 36° です。方位盤の南北の線は、東経139度50分の経線です。

したがって、東西の直線は、東経139度50分の経線に直交する卯酉線です。他の方位を示す直線も全て、法線を含む法面と、方位盤の交線です。

方位角は、その地点を通る経線が作る平面を基準として、法線の周りに回転する方面との成す角度で表されます。真北を0°として、時計回りに360°まで測られます。

全ての方位に対して、準拠楕円体の法面による断面が考えられ、それぞれ曲率半径があります。

準拠楕円体の中心から、東経139度50分の経線と赤道の交点へ向かう直線をX軸とします。準拠楕円体の中心から、自転軸の北の極へ向かう直線をZ軸とします。準拠楕円体の中心から、西経130度40分の経線と赤道の交点へ向かう直線をY軸とします。

卯酉線のイメージは、下図のようになります。地球は、ほとんど球ですから、経線の描く楕円を紙に書いても円にしか見えません。図は大きく強調したものです。

「卯酉線」に従って、平面直角座標9系の原点は、経度0°方向をX軸としたXYZ座標で、

(-3947708.577205533,  3332137.506016432,  3728191.675729482)

と計算されます。

  1. r$> func <- function(φ, λ){
  2.         f = 1/298.257222101
  3.         b <- 1-f
  4.         β <- atan(b*tan(φ))
  5.         list(x=cos(β)*cos(λ),y=cos(β)*sin(λ),z=b*sin(β))
  6.     }
  7.     φ <- 36/180*pi; λ <- (139+50/60)/180*pi
  8.     u <- func(φ, λ)
  9.     a <- 6378137
  10.     c(u$x,u$y,u$z)*a
  11. [1] -3947708.577205533  3332137.506016432  3728191.675729482

平面直角座標9系の原点の経度を0°としたXは、以下のようになります。

  1. r$> sqrt(u$x^2+u$y^2)*a
  2. [1] 5165998.777539881

あるいは、

  1. r$> u <- func(φ, 0)
  2.     u$x*a
  3. [1] 5165998.77753988
3.1. 経線の曲率半径

式1.1に、この値を適用すると、曲率半径 6357482.4375 を得ます。平面直角座標9系の原点における、経線の曲率半径です。

3.2. 卯酉線の曲率半径

準拠楕円体は回転楕円体なので、経線は全て同じ楕円です。平面直角座標9系の原点を通る経線を0°としても不都合はありません。これで、平面直角座標9系の原点を通る経線が作る平面は、XZ平面と考えることができます。

平面直角座標9系の原点Aは、

\left({{A}_{x}{\ A}_{y}\ {A}_{z}}\right)=\left({5165998.777539880,\ 0,\ 3728191.675729482}\right)

となります。

計算を簡単にしたいので、赤道半径を1として計算します。GRS80の赤道半径 aで割って、

        a = 6378137

\left({{A}_{x}{\ A}_{y}\ {A}_{z}}\right)=\left({5165998.777539880/a,\ 0/a,\ 3728191.675729482/a}\right)

点Aにおける法線の切片(地軸Zとの交点)s は、

s=b\cdot{}sin\beta{}-cos\beta{}\cdot{}tan\varphi{}

と表せ、法線は (0, 0, s)を通ります。

卯酉線が作る平面は法線を含み、\left({{A}_{x}{\ A}_{y}\ {A}_{z}}\right)\ 、(0, 0, s)を含みます。また、XZ平面にある経線に直交するので、Y軸に平行です。したがって、任意のyに対して(0, y, s)を通ります。

\left({{A}_{x}{\ A}_{y}\ {A}_{z}}\right)\ 、(0, 0, s)、(0, 1, s)の3点で決まる卯酉線が作る平面を、

Lx+My+Nz+O=0

とします。

maxima で、L、M、N、O を求めると左図のようになります。

回転楕円体は、

        {x}^{2}+{y}^{2}+\frac{{z}^{2}}{{b}^{2}}=1

です。平面の式と、回転楕円体の式の連立方程式を解いて、卯酉線上の点の座標を4つ求めます。

まず、卯酉線と赤道面の交点2つを求めます。z = 0 として、x、 y を求めます。

次に、x = 0、z = s として、直線ベクトル(0,1,s)との交点を求めます。

maxima の表示はコピーしてRのスクリプトに貼り付けられます。

a=1、b=0.6 と強調して図示すれば下図のように描けます。

卯酉線を卯酉線の作る平面上で考えると、準拠楕円体が地軸を軸とした回転楕円体であることから、法線に対して左右対称です。卯酉線は、法線を短軸とした楕円です。

地球楕円体の比率で描くと、左図のようになります。地球楕円体は、ほとんど真球なので、法線が回転楕円体の中心を通るように見え、卯酉線と赤道面との交点と、卯酉線と法線とZ軸の交点を通るY軸と同じ方向ベクトルの直線との交点は区別できません。

オレンジ色の線は、卯酉線を、赤道面との交線を軸にXY平面まで回転したものですが、赤道と重なって図では区別ができません。

法線と赤道面のなす角が緯度なので、法線が作る平面を、赤道面との交線を軸に、緯度だけ回転してXY平面に重ねます。

  1. r$> x<-cos(β)-(b*sin(β))/tan(φ)
  2.     y<-sqrt((1-cos(β)^2)*tan(φ)^2+2*b*cos(β)*sin(β)*tan(φ)-b^2*sin(β)^2)/tan(φ)  
  3.     y2 <- sqrt(-cos(β)^2*tan(φ)^2+2*b*cos(β)*sin(β)*tan(φ)-b^2*sin(β)^2+b^2)/b
  4.     x2 <- 0
  5.     x <- c(Ax, x,  x, x2,   0)
  6.     y <- c(0,  y, -y, y2, -y2)
  7.     z <- c(Az, 0,  0,  s,   s)
  8.     u <- Rotate(L, φ, list(x=x,y=y,z=z))
  9.     u
  10. $x
  11. [1]  0.999878441669715401  0.005422141138500591  0.005422141138500591
  12. [4] -0.001279993892284230 -0.001279993892284230
  13. $y
  14. [1]  0.0000000000000000  0.9999853000846934 -0.9999853000846934
  15. [4]  0.9999921881746419 -0.9999921881746419
  16. $z
  17. [1] -6.808789643208968e-17  0.000000000000000e+00  0.000000000000000e+00
  18. [4]  1.604619215278547e-17  1.604619215278547e-17

卯酉線上の5点は回転によって全て z がゼロになります。点AはX軸上に移動します。

この5点で決まる楕円の式の係数から、楕円の標準形を求めます。

  1. r$> v <- EllipseCoeff(u$x,u$y)
  2.     S <- StandardEllipse(v$A,v$B,v$C,v$D,v$E,v$F)
  3.     S
  4. $a
  5. [1] 0.9999948989782719
  6. $b
  7. [1] 0.9988327146454221
  8. $rotation
  9. [1] 1.570796326794897
  10. $cx
  11. [1] 0.001045727024292981
  12. $cy
  13. [1] -3.420291656950161e-17

長軸 u$a をx軸半径、短軸 u$b をy軸半径として、横長の楕円を描けば、点Aの曲率半径は、x=0のときの値です。これに、赤道半径を乗じれば、地球規模の点Aにおける卯酉線の曲率半径になります。

  1. r$> R <- CurvatureRadius(S$a, S$b, 0)
  2.     R
  3.     a <- 6378137
  4.     R*a
  5. [1] 1.001158435562008
  6. [1] 6385525.660720157

緯度36°における卯酉線の曲率半径は 6385525.6607 m と計算されます。

3.3. 平均曲率半径

緯度36°における方位角0°、90°、つまり経線方向と卯酉線方向の2つの曲率の幾何平均は、

6371488.620 m

となりました。単純平均は、

6371504.049 m

です。

3.4. 公式

        f=\frac{1}{298.257222101}

        a=6378137\ ,\ \ b=a\left({1-f}\right)

緯度φ=36°における、経線方向の曲率半径は、

{R}_{N}=\frac{{\left({ab}\right)}^{2}}{{\left({{\left({a\cdot{}cos\varphi{}}\right)}^{2}+{\left({b\cdot{}sin\varphi{}}\right)}^{2}}\right)}^{\frac{3}{2}}}=6357482.4375

緯度φ=36°における、卯酉線方向の曲率半径は、

        {R}_{E}=\frac{{{a}^{2}}^{\ }}{\sqrt{{\left({a\cdot{}cos\varphi{}}\right)}^{2}+{\left({b\cdot{}sin\varphi{}}\right)}^{2}}}=6385525.6607

緯度φ=36°における、方位角α の曲率半径は、

        {R}_{\alpha{}}=\frac{{R}_{N}\cdot{}{R}_{E}}{{R}_{N}{sin}^{2}\alpha{}+{R}_{E}{cos}^{2}\alpha{}}

緯度φ=36°における、方位角45° の曲率半径は、

        {R}_{45}=\frac{{R}_{N}\cdot{}{R}_{E}}{\frac{{R}_{N}}{2}+\frac{{R}_{E}}{2}}=6371473.1921

また、「付録 6 計算式集」に従って、

f=\frac{1}{298.257222101}

        a=6378137

        e=\sqrt{2f-{f}^{2}}

W=\sqrt{1-{e}^{2}\cdot{}{sin}^{2}\varphi{}}

M=\frac{a\left({1-{e}^{2}}\right)}{{W}^{3}}=6357482.4375

N=\frac{a}{W}=6385525.6607

R=\frac{a(1-f)}{{W}^{2}}=6371488.6206

4. 全方位の曲率半径

ある緯度φ の地点をAとすると、地点Aにおける方位角α の方位線の曲率半径を計算します。

準拠楕円体は地軸の周りに回転した回転楕円体なので、等緯度の地点の状態は全て同じです。地軸をZ軸、回転楕円体の中心を原点、Aを通る経線の作る面をXZ平面、赤道面をXY平面として、普通のXYZ座標で考えます。

計算を簡単にするために赤道半径を1として計算します。

点Aの座標は、

\left({{A}_{x}{\ A}_{y}\ {A}_{z}}\right)=\left({cos\beta{},\ 0,\ b\cdot{}sin\beta{}}\right)

tan\beta{}=b\cdot{}tan\varphi{}

b=1-f

f=\frac{1}{298.257222101}

方位線が作る、回転楕円体の切断面は、その地点を通る経線の作る面を、法線を軸に、時計回りにα回転したものです。

点Aを通る経線がXZ平面になるように座標軸を決めたので、経線による断面は左図のようになります。直線ASは法線で、点Sの座標は (0, 0, s) です。

        tan\varphi{}=\frac{\overline{AT}}{\overline{ST}}=\frac{\overline{AR}+\overline{RT}}{\overline{ST}}=\frac{b\cdot{}sin\beta{}-s}{cos\beta{}}

        s=b\cdot{}sin\beta{}-cos\beta{}\cdot{}tan\varphi{}

点Aにおける法線は、(0, 0, s) を通り、方向ベクトル

        \left({{Ax,\ 0,\ Az-s}_{\ }}\right)=\left({cos\beta{},\ 0,\ cos\beta{}\cdot{}tan\varphi{}}\right)

        =\left({cos\beta{},\ 0,\ \frac{sin\beta{}}{b}}\right)

です。

cos\beta{}\cdot{}tan\varphi{} は、tan\beta{}=b\cdot{}tan\varphi{} なので、

        cos\beta{}\cdot{}tan\varphi{}=cos\beta{}\frac{tan\beta{}}{b}=cos\beta{}\frac{\frac{sin\beta{}}{cos\beta{}}}{b}=\frac{sin\beta{}}{b}

です。したがって、

        s=b\cdot{}sin\beta{}-cos\beta{}\cdot{}tan\varphi{}=b\cdot{}sin\beta{}-\frac{sin\beta{}}{b}=\left({b-\frac{1}{b}}\right)sin\beta{}

また、曲線 y=f(x) の点 Q(Xq,Yq) における法線の公式は、

y-{Y}_{q}=-\frac{x-{X}_{q}}{{f}^{'}\left({{X}_{q}}\right)} 

のようです。

yをzと読み替えて当て嵌めてみます。

楕円、

        {x}^{2}+\frac{{z}^{2}}{{b}^{2}}=1

の式をzについて解けば、

        z=\pm{}b\sqrt{1-{x}^{2}}

となります。点Qは第1象限にあると考えているので、正の式を採って微分すると、

        z'=-\frac{{bx}^{\ }}{\sqrt{1-{x}^{2}}}

A(Ax,Az) における法線は、

z-{A}_{z}=-\frac{x-{A}_{x}}{-\frac{{b{A}_{x}}^{\ }}{\sqrt{1-{{A}_{x}}^{2}}}}

z=\frac{\sqrt{1-{{A}_{x}}^{2}}}{b{A}_{x}}x+{A}_{z}-\frac{\sqrt{1-{{A}_{x}}^{2}}}{b}

となります。切片は、

        {A}_{z}-\frac{\sqrt{1-{{A}_{x}}^{2}}}{b}=b\cdot{}sin\beta{}-\frac{\sqrt{1-{cos}^{2}\beta{}}}{b}=b\cdot{}sin\beta{}-\frac{sin\beta{}}{b}=\left({b-\frac{1}{b}}\right)sin\beta{}

となります。

点 A を通る経線が作る平面はXZ平面です。この平面は、点A を含む、法線ベクトル (0, 1, 0) の面と表されます。式では、y=0 と表されます。平面の式の係数L=0、M=1、N=0、O=0 で、式に現れない x、z は任意の値だと言うことのようです。

y=0 で表される平面を、点Aにおける法線を軸に、時計回りにα回転した平面は、点A、Sを含み、その法線の向きはα回転しています。

任意の直線の周りの回転は、各軸の周りの回転を組み合わせて行います。

直線や平面を表す方向ベクトルは、逆向きでも良いですし、始点や含む点にも制約はありません。これらの回転を整然と説明することができないので、かつて作成した回転関数に合わせて1例としたいと思います。

手順を説明するために、関数にしたものを掲げます。

  1. AzimuthCurvatureRadius <- function(φ, az, f=1/298.257222101) {
  2.     b <- 1 - f          # 極半径
  3.     β <- atan(b*tan(φ)) # 更成緯度
  4.     A0 <- c(cos(β), 0, b*sin(β))  # 緯度36度の地点Aの座標
  5.     S <- c(0, 0, (b-1/b)*sin(β))  # 法線の切片
  6.     if(abs(az)<24*.Machine$double.eps){
  7.         # 方位角がゼロの場合、XY平面では直線となるので別に計算
  8.         R <- CurvatureRadius(1, b, A0[1]) # 経線上の曲率半径
  9.         k <- list(a=1, b=b, rotation=0, cx=0, cy=0)
  10.         A <- c(A0[1],A0[3]) # 標準形の点Aの座標
  11.         O <- c(-1,0)
  12.         x <- A0[1]          # 曲率を求めたx
  13.     } else {
  14.         Normal <- Line2(A0, S)           # 法線
  15.         P <- list(x=c(0),y=c(0),z=c(1))  # XZ平面上の点
  16.         u <- Rotate(Normal, az, P)       # 平面を方位角だけ回転
  17.         PS <- Plane(A0,S,c(u$x,u$y,u$z)) # 方位角azの法面
  18.         # 垂直截線のXY平面への投影
  19.         qc <- ProjectEllipsoidSectionXY(PS$L,PS$M,PS$N,PS$O,b)
  20.         xy <- StandardEllipseXY(qc, 6) # 投影楕円の周の点列
  21.         z <- -(PS$L*xy$x+PS$M*xy$y+PS$O)/PS$N # x,yからz算出
  22.         # 切断面と赤道面の交線
  23.         IL <- Intersection2Planes(
  24.             list(L=PS$L,M=PS$M,N=PS$N,O=PS$O), list(L=0,M=0,N=1,O=0))
  25.         w <- AngleXY(PS) # 切断面と赤道面のなす角
  26.         xy$x[6] <- A0[1]; xy$y[6] <- A0[2]; z[6] <- A0[3]; xy$z <- z
  27.         u <- Rotate(IL, -w, xy) # 垂直截線をXY平面まで回転
  28.         A <- c(u$x[6], u$y[6])  # 回転後のA0のXY平面での座標
  29.         v <- EllipseCoeff(u$x,u$y) # 5点で決まる楕円の式の係数
  30.         k <- StandardEllipse(v$A,v$B,v$C,v$D,v$E,v$F) # その標準形
  31.         # 楕円の長軸(標準形のX軸)のXY平面での位置
  32.         O <- OrignCoeff(k, -1, 0) # 座標(-1,0)の行先
  33.         # 2直線の交点と、それぞれの直線状の点から成す角を求める
  34.         θ <- OriginAngle(c(k$cx,k$cy), O, A)
  35.         # 点Aから楕円の長軸に垂線を下して曲率を求めるxとする
  36.         x <- sqrt((A[1]-k$cx)^2+(A[2]-k$cy)^2)*cos(θ)
  37.         R <- CurvatureRadius(k$a, k$b, x) # 曲率半径
  38.     }
  39.     list(R=R, ellipse=k, A=A, x=x, S=S)
  40. }

緯度0° から 90° を考えます。方位角も0° から 90° を考えます。方位角による曲率の変化は、この範囲が分かれば、後は東西、南北に折り返して同じです。

方位角を15°刻みに計算すると以下のようになります。

  1. r$> a <- 6378137
  2.     t <- seq(0,pi/2,length.out=7)
  3.     φ <- 36/180*pi
  4.     for(az in t){
  5.         R <- AzimuthCurvatureRadius(φ, az)$R
  6.         cat(az/pi*180,R*a,"\n")
  7.     }
  8. 0 6357482.437549671 
  9. 15 6359353.277720708
  10. 30 6364470.126018431 
  11. 45 6371473.192120609 
  12. 60 6378491.686673882 
  13. 75 6383639.391985905
  14. 90 6385525.660720106

下図の2つの平面は、XZ平面と、点Aにおける方位角45°の法面です。XZ平面は点Aを通る経線の作る平面と同じです。

点Aにおける方位角45°の法面には、垂直截線を青で描きました。オレンジ色の楕円は垂直截線をXY平面まで回転したものです。

スクリプトを説明すると、更成緯度βを求めて、緯度φに相当する地点AのXYZ座標A、法線とZ軸の交点Sを求めます。

Normal は、直線ASです。

点Aを通る経線はXZ平面上にあります。XZ平面上の点(0,0,1)を、方位角azだけ、直線ASの周りに回転します。

その点と、点A、Sの3点で決まる平面PSは、方位角azの法面で、この面による断面が曲率を与える垂直截線です。

垂直截線は、回転楕円体の式と、法面の式からzを消去して、XY平面に投影した楕円の式を得ることで描きます。したがって、法面が赤道面に垂直の場合は計算できません。XY平面に投影した楕円の式を満たす点列を生成して、法面の式からzを計算することで、垂直截線を法面に描くことができます。

qcは、XY平面に投影した楕円の式の係数で、xyは、その楕円の標準形を求めて発生させた楕円の周上の点列です。5点あれば良いのですが、0から360°を等分して、最初は0°、最後は360°となるので、最後を除いて使います。

ILは、法面と赤道面の交線です。wは、法面と赤道面の成す角です。

xyを-w回転して、XY平面に重ねます。この際、点Aの座標も回転します。正しければ、回転結果のzが全てゼロになっているはずです。

XY平面まで回転した方位角45°の垂直截線を描くと左図のようになります。楕円の曲率半径は、式1.1によるので、標準形の楕円の長軸上の長さxから計算します。

準拠楕円体は赤道半径と扁平率で与えられた回転楕円体です。赤道は真円です。経線は全て同じ楕円を描きます。ある地点の曲率は緯度だけで決まります。

経線が描く楕円の長軸半径は赤道半径です。短軸半径は極半径で、21384.6859 m だけ赤道より短くなっています。

曲率半径が最も長いのは極で、6399593.6259 m と算出されます。曲率半径が最も短いのは赤道上の南北方向で、6335439.3271 m となります。差は、64154.2987 m です。

平面直角座標9系の原点の緯度36°における方位角と曲率半径は左図のようになります。

東西の卯酉線曲率半径は、6385525.6607 m で最も長く、南北方向の子午線曲率半径が最も短い、6357482.4375 m となります。差は、28043.2232 m です。

平均曲率半径は、2つの値の幾何平均で、6371488.6206 m です。

この2つの値の単純平均は、6371504.0491 m で、15°刻みの7方向の単純平均は、6371490.8247 m となります。1° 刻みの単純平均は、6371488.7901 m でした。0.1°、0.01° 刻みを計算すると、それぞれ、6371488.6377 m、6371488.6223 m となって、卯酉線曲率半径と子午線曲率半径の幾何平均に近づきます。


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